感染性胃腸炎の予防と消毒法
主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で、健康な方は軽症で回復しますが、子どもや高齢者などが感染すると重症化することもあるため注意が必要です。
感染性胃腸炎とは?
感染性胃腸炎とは、ノロウイルスなどの微生物を原因とする胃腸炎の総称です。
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- サポウイルス
- アデノウイルス
年間の食中毒の患者数の約半分はノロウイルスによるものですが、そのうち約7割は冬(11月~2月)に発生しており、この時期の感染性胃腸炎の集団発生例の多くはノロウイルスによると考えられます。
原因・症状
ノロウイルスは手指や食品(カキ等の2枚貝)などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、約24~48時間で吐き気、おう吐、下痢、腹痛、微熱などの症状が出てきます。
ノロウイルスは、感染力が強く、大規模な食中毒など集団発生を起こしやすいため、注意が必要です。
予防
① 手をよく洗う!
特に食事前、トイレの後、調理前後は、石けんでよく洗い、流水で十分に流しましょう。
- 消毒用エタノールによる手指消毒は、石けんと流水を用いた手洗いの代用にはなりません。
② 調理の際は、十分加熱!
食品は十分に洗い、中心までよく加熱(中心部が85℃~90℃で90秒以上)しましょう。
調理器具は、その都度洗剤で洗い、熱湯等で十分消毒(85℃で1分以上)しましょう。
③ タオルなどの共有はしない!
下痢などの症状が見られる場合には、できるだけ浴槽に入らず、掛け湯かシャワーで済ませましょう。
バスタオルや手ふきタオルは共有せず、個別のものを準備しましょう。
下痢便やおう吐物に大量のノロウイルスが含まれていることがありますので、おむつ等の取扱いには十分注意が必要です。
感染後、下痢症状がなくなっても1ヶ月程度ウイルスが排泄されるので、注意が必要です!
吐物や便などは、使い捨てのマスクや手袋を着用し、飛び散らないように処理し、次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。
消毒液の作り方
ノロウイルスを完全に失活化する方法としては、次亜塩素酸ナトリウム(を含む塩素系漂白剤または消毒剤)や加熱(熱湯消毒)による処理が有効です。
家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用可能です。
消毒用エタノールや逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)はあまり効果がありませんので注意してください。
キッチンにあるもので手軽に消毒液が作れます!
家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒液の作り方
- 次亜塩素酸ナトリウム消毒液の作り方(宮城県HP)
一般的な治療(薬など)
ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療法に限られます。
病院では、病状に応じて、整腸剤、制吐剤、解熱剤などが処方されます。
下痢に対しては下痢止めを使っても治療期間は短くならないとの報告も多く、市販の下痢止めを飲んでしまうと、ウイルスを体外に排出することができなくなり症状が長引くことがあるため注意が必要です。
また、無理に食事をすると、弱った腸の炎症がさらに悪化し、下痢や嘔吐の症状が激しくなります。
特に注意しなければならないのは脱水症状です。ウイルスを早く追い出したり、脱水症状を予防する為にも、水分をたくさん摂取することも大切です。(OS-1などの経口補水療法)
- 整腸剤(乳酸菌製剤)・・・ビオスリー、ラックビー、ミヤBM、ビオフェルミンなど
- 制吐剤(吐き気止め)・・・ナウゼリン、プリンペランなど
- 解熱鎮痛剤・・・カロナールなど
- 当薬局では、診療・治療などはできませんのでご注意ください。必要に応じて受診勧奨させていただきます。
関連サイトなど
- 仙台市の感染症発生情報(仙台市HP)
- 宮城県の感染症発生情報(宮城県HP)
- ノロウイルスに関するQ&A(厚生労働省HP)
- 国立感染症研究所HP